温もり

北風に弄ばれて道を急ぎながら視界の隅に惹かれるものを感知して思わず立ち止まったら常緑樹の垣根の上に見えたそれは白髪のおじさんだった。ゴールデンレトリバー色の上着に騙された。自宅の庭でくつろぐおじさんは、自宅の庭でくつろぐ犬と同じ安堵感や充実感を漂わせている。
幸せな家庭って実在するんだね。

カテゴリー: ch. Millf — きぃら 14:50

棄損

あまりにも静かに割れたので。
テーブルに出したとたん二つに割れたグラスが、現実のものではないような気さえしている。
毎日の小さな衝撃の積み重ねが、一筋の亀裂を生んだ。
初めから、そこには亀裂の入りやすい何かがあったのかもしれない。
しかたのないこと。
明日この用紙を届け出て、わたしはまた一人になる。

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