大人になれば

胸を覆い隠すほどの豊かな髪を編みながら湯船の中で彼女は言った。金と茶で横縞に染められた髪色に視線を奪われて、きっと彼女の顔はどれほども印象に残らない。同じ湯船に和みながら、わたしはそこに浮かんだ柑橘系の果実を手に取り、大きく齧りついた。口の中に異物感はあるのに、まるで無味。まるで現実。

カテゴリー: ch. Millf — きぃら 14:51

自滅願望

向かいのホームに移動する階段を5段ほど降りたところで座り込んでみた。
大丈夫ですか、て声に曖昧な笑顔で応えた。
もし今、あっちの電車に乗り換えなければ。
終電に間に合わなくて家に帰りつけなくて……
わたしはわたしから脱皮したい。
でも。
そうだよね、こんなやり方はダメ。
わかってるのに立ち上がれないよ。

カテゴリー: ch. Millf — きぃら 14:33

歓び

静かな水族館に一際ひっそりとした空気を滲ませるマイナスの存在感。
造られた深海にはどこまでも続く平穏な時間があるだけ。
たとえアンハッピーに泣くことがあっても、変化のある時間を持てるのは幸せなことなのかもしれない?
一緒にガラスをのぞき込んでいた彼の腕にしがみついた手にそっと力を込めた。

カテゴリー: ch. Millf — きぃら 14:35